Open Data Summit Autumn(10月4日)に参加して 小川 千亜希
株式会社アイ・アイ・エム http://www.iim.co.jp/
技術本部/テクニカルサポートセンター
近年、ビッグデータやIoTの活用が注目されています。しかし、日本は欧米等に比べ統計学の遅れとデータサイエンティストの不足が問題視されている状況にあります。
優秀なデータサイエンティストには統計学やコンピュータの知識、そしてビジネスの理解力が必要と考えられていますが、全てを兼ね備えた人を雇用するのはユニコーンを捕まえるほど非現実的で困難だと言われています。そのため、各分野のスペシャリストがチームを編成し、お互いの不足を補いながらデータ分析に関わる様々な課題に対応していくのが現状の解決方法です。本イベントでは、データ分析による知的活動を支援する取り組みや様々な製品・サービスが紹介されていました。
IBM社では「コグニティブ」という言葉が使われており、これから力を入れていく分野の一つとして挙げられています。「コグニティブ」とは認知力や記憶力を使う知的活動を指すそうです。
そんな中、滋賀大学では2017年にデータサイエンティスト育成をめざす「データサイエンス学部」を創設することが決まっており、本イベントのゼネラルセッションで基調講演がされました。
滋賀大学データサイエンス教育研究センター長・竹村彰通教授が滋賀大モデルについて講演され、価値を創造できるデータサイエンティストの育成を目標に1、2年生では数学、統計学、コンピュータの基礎を学び、3年生では様々な業種のビジネス現場で得られるデータを使った演習や、企業・自治体と連携した教育を行うカリキュラムが紹介されました。
実践教育によって価値創造力を持った人材育成を行う点にこの学部の魅力を感じました。またデータ分析専門の学部ができることで、今まで様々な分野に分かれて研究されていた統計学が発展することも考えられます。今後、日本国内に優秀なデータサイエンティストが増えることが期待されます。
竹村彰通教授 略歴 1976年 東京大学経済学部
1982年 スタンフォード大学大学院統計学
1992年 日本統計学会 理事
2008年 第13回日本統計学会賞
当日使用された竹村教授の資料;次のアドレスをクリックすると資料をダウンロードできます。